○山形村太陽光発電施設の設置及び維持管理等に関する条例

令和3年3月15日

条例第1号

(目的)

第1条 この条例は、再生可能エネルギーの普及拡大が進む一方で、太陽光発電事業(以下「発電事業」という。)に係る開発、運営を巡り様々なトラブルが発生している今日の社会情勢に鑑み、本村における太陽光発電施設(以下「発電施設」という。)の設置及び維持管理等に関し必要な事項を定め、災害リスクの高い場所及び景観と生活環境への影響が懸念される場所等への発電施設の設置に一定の基準を設けるとともに、事業者に対し、村民の暮らしに配慮した責任ある発電事業の運営を強く求めることにより、「小さな村の秩序ある土地利用」と「だれもが受け入れることのできる自然エネルギーの普及」を促進し、もって安心安全で持続可能な地域社会の形成に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 太陽光発電施設(発電施設) 太陽光を電気に変換するために設置(増設を含む)する設備及びその附属設備をいう。

(2) 太陽光発電事業(発電事業) 前号に規定する施設を稼働させ、発電又は売電を行うことをいう。

(3) 事業者 発電施設を設置(増設及び改修を含む。)し、又は設置する目的で土地の造成を行う者及び施設の設置後、当該施設により前号に規定する発電事業を行う者をいう。ただし、この条例に規定する各種の手続等は、これらのうちいずれかの者が全て行うものとする。

(4) 事業区域 第1号に規定する施設により発電事業を行う、又は行おうとする一団の土地をいう。

(5) 地元地区等 その区域に事業区域を含む行政区及び連絡班並びに事業区域の境界から100メートル以内の区域を含む行政区及び連絡班をいう。

(6) 周辺住民等 事業区域の境界から100メートル以内の区域に居住する世帯に属する者又はその代表者及び当該区域に土地又は建物を有する者をいう。

(7) 営農型発電事業 農地に支柱を立てて、営農を継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置して行う発電事業で、農地法(昭和27年法律第229号)の規定に基づいて実施するものをいう。

(8) 事業着手 発電事業に供する目的で行う、次に掲げるいずれかの行為をいう。

 用地の売買若しくは貸借契約の締結又はこれらの対価に相当する金銭等の授受

 盛土、切土その他の土地の形質変更又は木竹等の伐採

 発電施設の設置工事に係る資機材の発注

(適用除外)

第3条 この条例の規定は、次に掲げる施設には適用しない。

(1) 建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定するものをいう。)の屋根又は屋上に設置する設備

(2) 発電出力10キロワット未満の設備。ただし、既存の事業区域に近接した場所に同一の事業者が設置し、実質的に発電事業がいっしょに行われると認められるものについては、それぞれの出力を合算し、一体のものとして取り扱うものとする。

(3) この条例の施行より前に、法令等に基づく許認可を受けて事業着手した施設

(事業者の責務)

第4条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守し、発電事業に関して住民の理解と地域の合意形成が図られるよう努めるとともに、開始から終了までの全ての期間においてその責任の所在を明確にした上で、発電施設の維持管理、災害と公害の発生防止、安全対策及び周囲の生活環境保全に万全を期して、両者の関係を常に良好に保つよう努めなければならない。

(村民等の責務)

第5条 各行政区、連絡班及び村民等は、第1条の目的を達成するため、この条例に定める手続その他の事項の実施に関し、協力するよう努めなければならない。

(地権者の責務)

第6条 発電施設を設置しようとする土地の地権者は、周辺住民の生活への影響を十分考慮するとともに、災害及び災害廃棄物の発生を助長し、良好な景観及び生活環境を損ない、又は農業の振興に支障を来すおそれのある事業計画に対しては、事業者に当該土地を使用させることのないよう、慎重な検討と判断に努めるものとする。

(設置抑制区域の指定等)

第7条 村長は、近年多発する局地的集中豪雨等による土砂災害の発生又は土砂災害、溢水その他多様な災害による災害廃棄物の発生を未然に防ぐとともに、農業振興に資する優良農地を保持するため、次に掲げる区域を、新規に発電施設を設置することが適当でない区域として、「設置抑制区域」に指定することができる。

(1) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された砂防指定地域

(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項に規定する急傾斜地崩壊危険区域

(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項に規定する土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項に規定する土砂災害特別警戒区域

(4) 森林法(昭和26年法律第249号)第5条第1項に規定する民有林

(5) 農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号に規定する農用地区域(営農型発電事業のための施設を設置する場合を除く。)

2 村長は、必要があると認めたときは設置抑制区域を変更することができる。

3 村長は、設置抑制区域を指定又は変更したときは、その旨を告示するものとする。

(土砂災害警戒区域等への設置に対する同意)

第8条 事業者は、事業区域の一部又は全部が前条第1項第3号に規定する区域にあるときは、当該区域のうち規則で定める範囲にある土地が属する全ての連絡班から発電施設の設置に対する同意書を徴し、地域住民の理解を得なければならない。ただし、事業区域の一部又は全部が土砂災害特別警戒区域にあるときは、当該同意書のほか当該特別警戒区域内に居住する全ての世帯から同意書を徴さなければならない。

2 前項の規定において、該当する連絡班又は世帯から、何の意思表示もなされないときは、当該連絡班又は世帯は同意したものとみなす。

(事前協議)

第9条 事業者が村内で発電事業を計画しようとするときは、規則で定めるところにより、事前に村長に協議しなければならない。

(住民説明会等)

第10条 事業者は、前条に規定する事前協議の後速やかに、規則で定める事項について、地元地区等の代表者、周辺住民等、第8条に規定する範囲に居住する世帯その他関係する者に対して説明会を開催するものとし、地域の理解を得るよう努めなければならない。この場合において、設備の構造、安全対策、排水、土木工事その他必要な事項に関しては、発電施設の設計者が説明を行わなければならない。

2 事業者は、前項に規定する説明会に出席できなかった者に対しては、別の方法により説明会の内容を周知するものとする。

3 事業者は、説明会において住民等から出された質問、意見、要望及びそれらに対する回答、対応等を記録、記載した会議録を作成し、出席者2人の署名を付して、その写し1部を村長に提出するものとする。

(協定書等の作成)

第11条 地元地区等は、災害及び災害廃棄物の発生防止、景観の保全、安心安全な生活環境確保の観点から必要があると認めるときは、事業者に対してこれらに関する協定書又は合意書(以下「協定書等」という。)の作成を求めることができる。

2 事業者は、前項に規定する協定書等の作成を求められたときは、地元地区等と十分協議の上これを作成し、その写し1部を村長に提出しなければならない。

(法令に基づく許認可等の申請手続)

第12条 発電事業を行うにあたって農地法その他の法令に基づく許認可等の申請手続が必要となる場合において事業者は、住民とのトラブルを未然に防ぎ、事業目的達成の確実性を保障するため、前2条に規定する住民説明会等及び地元地区等との必要な協議が終了した後に当該申請手続を行うものとする。

(実施協議)

第13条 事業者は、第4条の責務を果たすため、規則の定めるところにより、次に掲げる発電施設の設置及び維持管理等の基準について村と協議(以下「実施協議」という。)し、必要な措置を講じなければならない。

(1) 構造物の安全性に関する基準

(2) 周辺住民等の生活環境への配慮及び景観の保全に関する基準

(3) 災害及び災害廃棄物の発生防止に関する基準

(4) 事業区域内の維持管理に関する基準

(5) 発電事業終了後の処置に関する基準

2 事業者は、前項の協議を必ず事業着手前に行うものとし、協議の結果、第10条の規定により実施した住民説明会の内容に相当な変更が生じた場合で、村長が必要と認めるときは、変更内容を当該住民説明会の参集者に適切な方法により周知するものとする。

3 前2項の協議終了後、村長は村の意見を付して事業者に協議の終了を通知し、事業者は当該協議の結果に基づいて発電事業を実施する旨の確約書を村長に提出するものとする。

(工事着手、完了その他の届出)

第14条 事業者は、次に掲げるときは、それぞれ規則で定めるところにより村長に届け出るものとする。

(1) 実施協議の終了後、設置工事に着手するとき。

(2) 設置工事が完了したとき。

(3) 相続、売買、合併又は分割その他の理由により事業者に変更を生じ、又は事業が他者に承継されることとなったとき。

(4) 事業期間の途中で事業の継続が困難となった場合で、当該事業を承継する者がないとき又は事業期間の満了により発電事業を終了するとき。

(工事の完了検査)

第15条 村長は、前条第2号の届出があったときは、工事が適正に行われているかを検査して、その結果を事業者に通知するものとする。

(非常時の対応)

第16条 事業者は、その発電事業に起因して周辺環境に何らかの被害又は影響を及ぼす非常の事象が発生した場合は、直ちに現地を確認し、村に報告するとともに、必要に応じて周辺住民等に周知して、迅速かつ適切に対処するよう努めなければならない。

(発電施設等の適正処分)

第17条 事業者が発電事業を終了したときは、当該事業に供した土地の所有権その他いかなる権限の如何にかかわらず、発電施設をその場に放置することなく、自らの責任において直ちに撤去し、適正に処分しなければならない。

(事業の承継)

第18条 第14条第3号に規定する事業の承継が行われたときは、第11条に規定する協定書等のほかこの条例の規定及びこの条例の規定によって既になされた全ての行為も同時に承継するものとする。

2 事業者が前項の事業承継を行おうとするときは、事前にその旨を地元地区等及び周辺住民等に対して周知しなければならない。

(指導、助言及び勧告)

第19条 村長は、関係法令及びこの条例の運用に関し必要があると認めるときは、事業者に対して適切な措置を講ずるよう指導又は助言をすることができる。

2 村長は、事業者が関係法令及びこの条例の規定を守ることなく事業を実施し、又は信義に反して行った行為に対して、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(公表)

第20条 村長は、前条に規定する勧告を受けた事業者がそれに従わないときは、その旨を当該事業者の氏名又は名称とともに公表することができる。この場合において、公表は村長が適当と認める方法により行うものとする。

(委任)

第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

この条例は、令和3年4月1日から施行する。

山形村太陽光発電施設の設置及び維持管理等に関する条例

令和3年3月15日 条例第1号

(令和3年4月1日施行)