○老人福祉措置要領
令和5年9月1日
告示第68号
この要領は、老人福祉法(昭和38年法律第133号。以下「法」という。)、老人福祉法施行令(昭和38年政令第247号。以下「政令」という。)及び老人福祉法施行規則(昭和38年厚生省令第28号。以下「省令」という。)によるほか、法の施行について必要な事項を定めるものとする。
第1 措置の実施者
村長が、法第11条第1項第1号の措置の対象とする老人は、次の(1)から(4)のとおりとする。
(1) 村内に居住を有する者
この場合における居住地とは、老人の居住事実がある場所をいうものであるが、現にその場所に生活していなくても、現在地に生活していることが一時的な便宜のためであり、一定期限の到来とともにその場所に復帰して起居を継続することが期待される場合等は、その場所を居住地として認定するものであること。
(2) 居住地を有しないか又は明らかでない者で、その所在地が村内にある者(村内に所在する、法第5条の3に規定する養護老人ホーム及び特別養護老人ホーム並びに生活保護法第38条に規定する救護施設及び更生施設以外の社会福祉施設又は病院等に入所している者を含む。)
(3) 法第11条第1項第1号若しくは第2号又は生活保護法(昭和25年法律第144号)第30条第1項ただし書きの規定により入所している者で、その入所前の居住地が村内にあった者
(4) 法第11条第1項第1号若しくは第2号又は生活保護法(昭和25年法律第144号)第30条第1項ただし書きの規定により入所しており、入所前の居住地を有しないか又は明らかでなかった者で、入所まえの所在地が村内にあった者
第2 備付書類
1 村長は、法第11条第1項又は第2項の規定により措置した者(以下「被措置者」という。)につき、老人措置(指導)台帳(様式第1号)を作成し、常に、その記載事項について整理しておくものとする。
2 村長は、次に掲げる書類を作成し、常に、その記載事項について整理しておくものとする。
(1) ケース番号登載簿(措置開始申出等受理簿)(様式第2号)
(2) ケース記録表(様式第3号)
(3) 面接(通告)記録表(様式第4号)
(4) 老人保護措置費支給台帳(様式第5号)
(5) 養護受託者申出書受理簿(様式第6号)
(6) 養護受託者登録簿(様式第7号)
第3 入所判定委員会の設置等
1 村長は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホーム(以下「老人ホーム」という。)への入所措置の要否を判定するため、一部事務組合において入所判定委員会を設置するものとする。
2 入所判定委員会は、措置の要否に当たっては、第4に規定する老人ホームへの入所措置の基準に基づき健康状態、日常生活動作の状況、精神の状況、家族、住居の状況等について老人ホーム入所判定審査票(様式第8号)により総合的に判定を行い、その結果を村長に報告するものとする。
なお、老人の基本が在宅であるため、判定にあたっては、在宅福祉サービスの活用状況及びサービス調整チームの検討結果を考慮するものとする。
第4 老人ホームの入所措置の基準
1 養護老人ホーム
法第11条第1号の規定により、老人を養護老人ホームに入所させ、又は入所を委託する措置は、当該老人が次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合に行うものとする。
(1) 身体上、精神上又は環境上、次表のアに該当し、かつイからオのいずれかに該当していること。
事項 | 基準 |
ア 健康状態 | ・入院加療を要する病態でないこと。 ・伝染性疾患を有し、他の被措置者に伝染させる恐れがないこと。 |
イ 日常生活動作の状況 | ・入所判定審査票による日常生活動作事項のうち、一部介助が1項目以上あり、かつ、その老人の世話を行う養護者等がないか、又はあっても適切に行うことができないと認められること。 |
ウ 精神の状況 | ・入所判定審査票による痴呆等精神障害の問題行動が軽度であって日常生活に支障があり、かつ、その老人の世話を行う養護者等がないか、又はあっても適切に行うことができないと認められること。 |
エ 家族の状況 | ・家族又は家族以外の同居者との同居の継続が老人の心身を著しく害すると認められること。 |
オ 住居の状況 | ・住居がないか、又は、住居があってもそれが狭隘である等環境が劣悪な状態にあるため、老人の心身を著しく害すると認められること。 |
(2) 経済的理由で次のいずれかに該当している場合
ア 当該65歳以上の者の属する世帯が生活保護法による保護を受けている世帯に属する場合
イ 当該老人の属する世帯の生計中心者が、地方税法(昭和25年法律第226号)に規定する村民税の所得割を課されていない者である場合
なお、「当該老人の属する世帯の生計中心者」は、老人の扶養義務者であるかどうかにかかわらないものである。
ウ 災害の発生等により所得の状況に著しく変動がある等のため、当該老人の属する世帯又はその生計中心者が前記に相当する状態にあると認められる場合
エ 生計中心者が当該老人の配偶者でない場合又は養護老人ホームの入所の要件に該当する場合であって生計中心者と当該老人とを同一世帯として想定することが当該老人の福祉を著しく阻害すると認められるときは、同一世帯にないものとみなして取り扱って差し支えないこと。
オ 生計中心者に対する村民税の課税年度は、措置を必要とする時点において、把握できる最も近い年度の課税状況によること。なお、措置を必要とする時点とは、措置を開始する日をいう。
2 特別養護老人ホーム
法第11条第1項第2号の規定により、老人を特別養護老人ホームに入所させ、又は、入所を委託する措置は、当該老人が、要介護認定において要介護状態に該当し、かつ、健康状態が次の基準を満たす場合に行うものとする。
事項 | 基準 |
ア 健康状態 | ・入院加療を要する病態でないこと。 ・感染症を有し、他の被措置者に感染させる恐れがないこと。 |
なお、特別養護老人ホームへの入所の措置については、やむを得ない事由により介護保険法(平成9年法律第123号)に規定する介護老人福祉施設に入所することが著しく困難であると認めるときに限られる者であるが、「やむを得ない理由」としては、次に掲げるものとする。
(1) 本人が家族等の虐待又は無視を受けている場合
(2) 痴呆その他の理由により意思能力が乏しく、かつ、本人を代理する家族等がいない場合
(3) その他特別に村長が認めた場合
第5 養護委託の措置の基準
法第11条第1項第3号の規定による養護委託の措置は、次のいずれかに該当するときは行わないものとする。
1 当該老人の身体又は精神の状況、生活、信仰等が受託者の生活を乱すおそれがある場合
2 養護受託者が老人の扶養義務者である場合
3 同一の養護受託者が2人以上の老人(それらが夫婦等特別の関係にある場合を除く。)を養護する場合
第6 措置の開始、変更及び廃止
1 措置の開始
村長は、老人ホームへの入所又は養護委託の措置の基準に適合する老人については、措置を開始するものとする。
なお、措置を開始した後、随時、当該老人及びその出身世帯を訪問し、必要な調査及び指導を行うものとする。
2 措置の変更
村長は、老人ホームへの入所及び養護受託者への委託の措置のうち、いずれかの措置を採られている老人が他の措置を採ることが適当であると認められるに至った場合は、その時点において、措置を変更するものとする。
また、老人ホームの施設長は、当該施設の入所者について措置の変更、又は廃止を必要とする事由が生じたと認めるときは、すみやかに村長に対して電話による報告を行うとともに被措置者状況変更届(様式第9号)により届けるものとする。
3 措置の廃止
村長は、老人ホームへの入所又は養護受託者への委託の措置を受けている老人が次のいずれかに該当する場合、その時点において、措置を廃止するものとする。
(1) 措置の基準に適合しなくなった場合
(2) 入院その他の事由により老人ホーム又は養護受託者の家庭以外の場所で生活する期間が3か月以上にわたることが明らかに予想される場合、又は概ね3か月を超えるに至った場合
4 措置後の入所継続の要否
村長は、老人ホーム入所者については、年1回入所継続の要否について見直すものとする。
第7 65歳未満の者に対する措置
法第11条第1項に規定する措置において、65歳未満の者であって特に必要があると認められる者は、法第11条第1項各号のいずれかの措置の基準に適合する者であって、60歳以上の者について行うものとする。
ただし、60歳未満の者であって次のいずれかに該当するときは、老人ホームの入所措置を行うものとする。
1 老衰が著しく、かつ、生活保護法に定める救護施設への入所要件を満たしているが、救護施設に余力がないため、これに入所させることができないとき。
2 初老期痴呆に該当するとき。
3 その者の配偶者(60歳以上の者に限る。)が老人ホームへの入所の措置を受ける場合であって、かつ、その者自身が老人ホームの入所基準に適合するとき。
第8 要措置者の発見及び調査
1 村長は、要措置者の発見に努めるとともに住民、関係行政機関等から要措置者の発見の協力が得られるよう、制度について周知徹底を図るものとする。
2 村長は、老人、その家族、民生委員等から申出、通告等により、又は自らの調査により措置の対象とみられる老人を発見したときは、措置の要否を判定するため、本人又はその扶養義務者に係る養護の状況、心身の状況、生計の状況その他必要な事項につき調査を行い、又は必要に応じて、民生委員、税務官署等に調査を依頼するものとする。
第9 措置申出書
1 村長は、法第11条第1項の規定による措置の開始、変更又は廃止を行おうとするときは、本人又はその扶養義務者等から老人福祉法による措置申出書(様式第10号)を提出させるよう指導するものとする。
2 村長は、措置開始の申出又は通告等があったものについては、措置開始申出等受理簿(様式第2号)に登載し整理するものとする。
第10 老人ホームの入所措置決定時の事前説明等
1 村長は、老人ホームへの入所決定時に入所希望者及びその家族等に対して措置制度の仕組みや老人福祉施設の種類とそれぞれの機能について事前に十分説明し、理解を求めておくものとする。
2 村長は、入所判定委員会の判定により要措置となった後、入所するまで数ヵ月の期間を要する場合で本人等の状況が入所判定時に比べ著しく変動したと認められるときは、実際に入所する時点で再度判定を行うものとする。
3 村長は、老人ホームへの入所措置変更等に際しては、入所者及びその家族の意志を十分聴取するとともに措置の趣旨について十分説明し、理解と合意を得たうえで措置変更を行うものとする。
第11 措置の決定等
1 村長は、第6の規定により措置の開始、変更又は廃止を行おうとするときは、措置決定調書(様式第11号)によりするものとする。
3 村長は、措置の申出を不採用としたときは、措置申出不採用通知書(様式第15号)により申出者に通知するものとする。
第12 養護受託者の決定等
2 村長は、養護受託者を決定するに当たっては、次の基準のすべてに適合する者について行うものとする。
(1) 本人及びその家族が老人の養護受託について理解と熱意を有するものであること。
(2) 本人及びその家族が身体的、精神的に健康な状態であること。
(3) 当該世帯の経済的状況が、委託する老人の生活を圧迫するおそれがないものであること。
(4) その住家の規模、構造及び環境が、老人の健康な生活に適すること。
(5) 受託の動機が、老人の労働力搾取又は委託費の搾取のおそれがないこと。
(6) 本人及びその家族の性格、信仰等が老人の心身に悪影響を及ぼすおそれがないこと。
3 次のいずれかの場合に該当するときは、委託の措置は行わないものとする。
(1) 当該老人の身体及び精神の状況、性格、信仰等が受託者の生活を乱すおそれがある場合
(2) 養護受託者が老人の扶養義務者である場合
第13 養護の委託措置
1 村長は、養護委託の措置を決定するに当たっては、受託者に対し、あらかじめ、次の措置を採るものとする。
(1) 次項に定める委託の条件を十分了知させること。
(2) 委託しようとする老人の健康状態、経歴、性格、信仰等について了知させること。
(3) 委託しようとする老人と養護受託者とを面接させること。
(4) 委託しようとする老人と養護受託者が委託の措置について合意に達していることを確認すること。
2 村長は、養護委託の決定をしたときは、養護受託者に対し、委託の条件として次に掲げる事項を文書をもって通知するものとする。
(1) 処遇の範囲及び程度
(2) 委託費の額及び経理の方法
(3) 老人又は受託者が相互の関係において損害を被った場合、実施機関がこれを賠償する責めを負わないこと。
(4) 村長が養護受託者に対し老人の養護に関し必要な指導をしたときは、これに従わなければならないこと。
第14 指導の措置
法第5条の4第2項の指導は、次のことに重点をおいて行うものとする。
1 老人とその家族の関係が緊張し、調和を欠く家庭について、そのような関係が改善されるよう指導すること。
2 老人ホームに入所又はホームヘルプサービス等の在宅福祉サービスを受けることが適当であると認められるにもかかわらず、これらの措置を受けないでいる老人に対してそれらの措置を受けるよう勧めること。
3 養護受託者に対しては、委託したときの条件及び注意事項等に反し、福祉に欠けないよう指導すること。
第15 移送
村長は、老人が老人ホームに入所する場合若しくは老人ホームから退所する場合又は老人が養護受託者の家庭に入る場合若しくは養護受託者の家庭から出る場合においては、必要に応じて移送を行うものとする。ただし、老人ホームに入所している者若しくは養護受託者にその養護を受託されているものが生活保護法の医療扶助により入(通)院するとき、又は入院している被保護者が老人ホームに入所する場合若しくは養護受託者の家庭に入る場合には法による移送は行わないものとする。
第16 葬祭の措置
1 法第11条第2項の規定による葬祭又は葬祭の委託の措置は、老人ホームに入所していた者及び養護受託者のその養護を委託していた者が死亡した場合において、すみやかに葬祭を行うものの有無を調査し、葬祭を行う者がいないことを確認したうえで行うものとする。
2 葬祭の措置は、死亡の診断若しくは死体の検索、死体の運搬、火葬若しくは、埋葬、納骨等適当と認められる範囲内において行うものとする。
第17 遺留金品の処分
1 法第27条に規定する遺留金品の処分の取扱いは、生活保護法第76条の規定する遺留金品処分の例(別紙)による。
2 老人ホームの長は、入所者が死亡したときは、入所者死亡に伴う遺留金品届(様式第20号)に遺留金品を添えてその措置を実施した村長にすみやかに届出するものとする。
4 村長は、相続人がいることが明らかでないときは、家庭裁判所に対し、民法(明治29年法律第89号)第952条の規定による相続財産管理人の選任請求を行うものとする。
第18 措置費請求書等
2 村長は、前項の請求書を受理したときは、これを審査し、請求のあった月の10日までに交付するものとする。
第19 措置費精算書等
第20 老人保護措置費交付基準の改正があった場合の措置費の請求、精算事務の取扱い。
1 第18第1項の規定による概算交付の請求をする場合において、当該月の初日までに交付基準額の改正通知があったときは、改正された額により行うものとする。
2 第19第1項の規定による精算をする場合において、概算交付を受けた当該月中に交付基準額の改正通知があったときは、改正された額により行うものとする。
3 第19第1項の規定による精算書を提出した日以後において交付基準額の改正通知があった場合には、第19第2項の規定により行うものとする。
第21 措置費の交付額
法第11条の規定による措置に要する費用の交付額は、老人保護費の国庫負担について(昭和47年6月1日厚生省第451号次官通知)によるものとする。
附則
この告示は、令和5年9月1日から施行する。