第2節 災害直前活動

総務部

風水害については、災害発生の危険性をある程度は予測することが可能であり、被害を軽減するためには、気象情報や警報等の情報を住民に伝達すること、迅速な避難誘導等や災害の未然防止活動など、災害発生直前の活動が極めて重要である。

1 警報等の伝達活動

気象情報や警報等を迅速かつ適切に伝達することは、災害発生直前に適切な行動をし、人的、物的被害を回避するためにも重要である。

(1) 村は、各機関から受けた注意報・警報等及び指示事項を速やかに周知徹底する。また、放送等により気象状況を常に把握し、注意報・警報等の補填に努める。

(2) 村において、住民から災害発生のおそれのある異常現象の通報を受けたときは、その旨を速やかに関係機関に伝達する。

気象地震等予警報及び異常現象等の受理伝達系統

2 異常現象発見時の通報

(1) 災害が発生あるいは拡大するおそれがある異常な現象を発見した者は、自己又は他人により村長若しくは警察官に、速やかにその情報を通報する。

(2) 通報を受けた村長あるいは警察官は、次の通報系統によりそれぞれ関係機関に通報するとともに、できるだけその現象を確認し事態の把握に努める。

その際村長は、地域振興局あるいは建設事務所、保健福祉事務所等の県現地機関へ、またその影響が及ぶと思われる隣接市町村へ通報する。

(3) その他の関係機関は、次の通報系統によりそれぞれ関係の機関に速やかに通報することにより、長野地方気象台が事態を掌握する。

通報系統

3 住民の避難誘導対策

風水害により、住民の生命、身体に危険が生ずるおそれのある場合には、必要に応じて、避難準備・高齢者等避難開始の伝達、避難勧告、避難指示(緊急)を行うなど、適切な避難誘導を実施し、災害の発生に備える。

(1) 村は、風水害の発生のおそれがある場合には、河川管理者、水(消)防団等と連携を図りながら、気象情報等に十分注意し、重要水防区域や土砂災害警戒区域等の警戒活動を行い、危険がある場合又は、危険が予想される場合は、住民に対して避難準備・高齢者等避難開始の伝達、避難勧告、避難指示(緊急)を行うとともに、避難誘導活動を実施する。

(2) 村は、災害が発生するおそれのある場合には、必要に応じ、指定避難所を開設し、住民等に対して周知徹底を図る。また、あらかじめ指定された施設以外の施設についても、必要がある場合は、管理者の同意を得て指定避難所とする。

(3) 住民に対する避難準備・高齢者等避難開始、避難勧告、避難指示(緊急)の伝達に当たっては、村防災行政無線、広報車等あらゆる広報手段を通じて、対象地域の住民に迅速かつ的確な伝達をするよう努める。

(4) 情報の伝達、避難誘導の実施に当たっては、高齢者、身体障がい者その他歩行が困難な者等から優先的に行う等、要配慮者に対して配慮するよう努める。

(5) 指定避難所及び避難路の所在、浸水区域、土砂災害危険箇所の所在等、避難に資する情報の提供を行うよう努める。

(6) 避難勧告等の解除をする場合には、十分に安全性の確認に努める。

4 災害の未然防止対策

村は、災害発生のおそれがある場合は、事前に適切な災害未然防止活動を行い、被害の発生の防止に努める。

(1) 水防活動

水防計画に基づき、河川堤防等の巡視を行い、水防上危険であると思われる箇所について、応急対策として水防活動を実施する。

(2) 河川管理施設、農業用用排水施設等

洪水の発生が予想される場合には、ダム、せき、水門等の適切な操作を行う。

その操作に当たり、危害を防止するため必要があると認められるときは、あらかじめ必要な事項を警察署等に通報するとともに住民に対して周知する。

(3) 道 路

降水量等に応じて、パトロール、事前規制等の必要な措置を実施する。


別紙

警報等の種類及び発表基準

1 気象業務法に基づく警報等

気象業務法に基づき、一般の警戒又は注意を促すために発表する気象、地象及び水象についての警報、注意報並びに情報をいう。

令和2年8月現在
発表官署 長野地方気象台

山形村 府県予報区 長野県
一次細分区域 中部
市町村等をまとめた地域 松本地域


情 報
レベル
現象の種類 気象警報等発表の基準
警 報 大雨 (浸水害) 表面雨量指数基準
(土砂災害) 土壌雨量指数基準 121
洪水 流域雨量指数基準 三間沢川流域=5.6、唐沢川流域=5.7
複合基準*1
指定河川洪水予報による基準
暴風 平均風速 17m/s
暴風雪 平均風速 17m/s 雪を伴う
大雪 降雪の深さ 12時間降雪の深さ20㎝
注意報 大雨 表面雨量指数基準
土壌雨量指数基準 98
洪水 流域雨量指数基準 三間沢川流域=4.4、唐沢川流域=4.5
複合基準*1
指定河川洪水予報による基準
強風 平均風速 13m/s
風雪 平均風速 13m/s 雪を伴う
大雪 降雪の深さ 12時間降雪の深さ10㎝
落雷等により被害が予想される場合
融雪

1.積雪地域の日平均気温が10℃以上

2.積雪地域の日平均気温が6℃以上で日降水量が20㎜以上

濃霧 視程 100m
乾燥 最小湿度20%で実効湿度55%*2
なだれ

1.表層なだれ:積雪が50㎝以上あって、降雪の深さ20㎝以上で風速10m/s以上、または積雪が70㎝以上あって、降雪の深さ30㎝以上

2.全層なだれ:積雪が70㎝以上あって、最高気温が平年より5℃以上高い、または日降水量が15㎜以上

低温

夏期:平均気温が平年より4℃以上低く、かつ最低気温15℃以下(高冷地で13℃以下)が2日以上続く場合

冬期:最低気温-14℃以下(高冷地で-21℃以下)

早霜・晩霜期に最低気温 2℃以下
着氷 著しい着氷が予想される場合
着雪 著しい着雪が予想される場合
記録的短時間大雨情報 1時間雨量 100㎜

*1(表面雨量指数、流域雨量指数)の組み合わせによる基準値を表す。

*2湿度は松本特別地域気象観測所の値

〈参考〉

土壌雨量指数 土壌雨量指数は、降雨による土砂災害発生の危険性を示す指標で、土壌中に貯まっている雨水の量を示す指数。解析雨量、降水短時間予報をもとに、5㎞四方の領域ごとに算出する。
流域雨量指数 流域雨量指数は、降雨による洪水災害発生の危険性を示す指標で、対象となる地域・時刻に存在する流域の雨水の量を示す指数。解析雨量、降水短時間予報をもとに、1㎞四方の領域ごとに算出する。

※気象等に関する特別警報の発表基準

現象の種類 基    準
大雨 台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨が予想され、若しくは、数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により大雨になると予想される場合

 参考 雨に関する山形村の50年に一度の値

  48時間降水量:233mm

  3時間降水量:68mm

  土壌雨量指数:161

暴風 数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により 暴風が吹くと予想される場合
暴風雪 数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により雪を伴う暴風が吹くと予想される場合
大雪 数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される場合

 参考 50年に一度の積雪深と既往最深積雪深(松本)

  50年に一度の積雪深:57cm

  既往最深積雪深:78cm

〔注〕 発表に当たっては、降水量、積雪量、台風の中心気圧、最大風速などについて過去の災害事例に照らして算出した客観的な指標を設け、これらの実況及び予想に基づいて判断をする。

2 消防法に基づく警報等

(1) 火災気象通報

消防法に基づき、気象状況が火災の予防上危険であるとき長野地方気象台長が長野県知事に行う通報で、知事は直ちに市町村長に通報する。

区   分 発    表    基    準
火災気象通報 気象の状況が次のいずれか一つの条件を満たしたときとする。

1 実効湿度が55%以下で、最小湿度が20%以下になる見込みのとき。

2 実効湿度が60%以下、最小湿度が40%以下で、最大風速が7m/sを超える見込みのとき。

3 平均風速10m/s以上の風が1時間以上連続して吹く見込みのとき。(降雨、降雪のときには通報しないことがある。)

(2) 火災警報

消防法に基づき、市町村長が火災気象通報を受けたとき、又は気象の状況が火災の予防上危険であると認めたとき、一般に火の使用を制限し警戒を促すために発表する警報をいう。

区   分 発    表    基    準
火災警報 前項(1)の発表基準に準ずる。

3 その他の情報

(1) 土砂災害警戒情報

長野県と長野地方気象台が共同で発表する情報で、大雨警報発表中に、大雨による土砂災害発生の危険度が高まった時、市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう市町村ごとに発表する情報をいう。

区   分 発    表    基    準
土砂災害
警戒情報
2時間先までの予測雨量から求めた60分積算雨量と土壌雨量指数の関数曲線値が、土砂災害発生危険基準線を超えると予測した場合。

(2) 記録的短時間大雨情報

大雨警報発表時に、現在の降雨がその地域にとって災害の発生につながるような、稀にしか観測しない雨量であることを知らせるために、地域を名指しして発表する気象情報をいう。

区   分 発    表    基    準
記録的短時間
大雨情報
県内で数年に一度程度しか発生しないような激しい短時間の大雨を、観測(地上の雨量計による観測)又は解析(気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせた分析)した場合。

(3) 竜巻注意情報

積乱雲の下で発生する竜巻、ダウンバースト等による激しい突風に対して注意を呼びかける気象情報をいう。

区   分 発    表    基    準
竜巻注意情報 雷注意報が発表されている状況下において、竜巻等の激しい突風の発生する可能性が高まった時に発表する。この情報の有効時間は、発表から1時間である。

(4) 全般気象情報、関東甲信地方気象情報、長野県気象情報

気象情報の種類としては、台風に関する情報、大雨に関する情報、低気圧に関する情報などがある。また、対象とする予報区により全般、地方、府県気象情報がある。

区   分 発    表    基    準
全般気象情報、関東甲信地方気象情報、長野県気象情報 気象の予報等について、警報・注意報に先立って注意を喚起する場合や、警報・注意報が発表された後の経過や予想、防災上の注意を解説する場合等に発表する。

4 警報等の発表及び解除

警報等を発表及び解除する機関は、次のとおりとする。

なお、注意報及び警報はその種類にかかわらず、新たな注意報又は警報の発表が行われたときには、自動的に切り替えられるものとする。

警報等の種類 発表機関名 対   象   区   域
気象注意報
気象警報
洪水注意報
洪水警報
長野地方気象台 市町村ごと
水防警報 松本建設事務所 知事が指定した河川(「県の指定河川」という。)
火災気象通報 長野地方気象台 県全域あるいは一部
火災警報 村     長 各市町村域
土砂災害警戒情報 県・長野地方気象台 市町村ごと
記録的短時間大雨情報 長野地方気象台 県全域あるいは一部
竜巻注意情報 長野地方気象台 県全域あるいは一部
全般気象情報、
関東甲信地方気象情報、
長野県気象情報
気象庁、
気象庁、
長野地方気象台
全国、関東甲信地方、長野県