第6節 自衛隊の災害派遣

総務部

災害に際して、人命又は財産の保護のため必要と認め、公共性・緊急性・非代替性を満たす場合、自衛隊法第83条第1項に基づき、自衛隊の災害派遣を要請する。

自衛隊が派遣された場合は、派遣部隊の円滑な活動を確保するため、県、村は、派遣部隊と密接に連絡調整を行う。

1 派遣要請

(1) 派遣要請の範囲

村長は、次の要請範囲内において、自衛隊の派遣を必要とする場合は、(2)により要請を求める。

ア 被害状況の把握

車両、航空機等状況に適した手段による偵察

イ 避難の援助

避難者の誘導、輸送等

ウ 遭難者等の捜索、救助

行方不明者、負傷者の捜索、救助(ただし、緊急を要し、かつ、他に適当な手段がない場合、他の救援作業等に優先して実施する。)

エ 水防活動

堤防護岸等の決壊に対する土(ど)嚢(のう)の作成、積込み及び運搬

オ 消防活動

利用可能な消防車、防火用具による消防機関への協力

カ 道路又は水路等交通路上の障害物の排除

施設の損壊又は障害物がある場合の啓開除去等(ただし、放置すれば人命、財産の保護に影響があると考えられる場合)

キ 応急医療、防疫、病害虫防除等の支援

大規模な感染症等の発生に伴う応急防疫等(薬剤等は、村が準備)

ク 通信支援

自衛隊の通信連絡に支障のない限度において支援

ケ 人員及び物資の緊急輸送

緊急を要し、他に適当な手段がない場合、緊急患者、医師、その他救難活動に必要な人員及び救援物資の緊急輸送(航空機による輸送は、特に緊急を要する場合に限る。)

コ 給食及び給水支援

緊急を要し、他に適当な手段がない場合

サ 救援物資の無償貸与又は譲与

「防衛省所管に属する物品の無償貸付及び譲与等に関する省令」(昭和33年総理府令第1号)による。

シ 交通規制の支援

自衛隊車両の交通が集中する地点における自衛隊車両を対象とする。

ス 危険物の保安及び除去

能力上可能なものについて、火薬類、爆発物等危険物の保安措置及び除去

セ 予防派遣

風水害等を未然に防止するため緊急を要し、かつ、他に適当な手段がない場合

(2) 派遣要請手続・系統(後掲参照)

ア 村長は、自衛隊の災害派遣を求めようとするときは、文書又は口頭をもって松本地域振興局長若しくは松本警察署長を通じ知事に派遣を求める。

イ 村長は、アにより口頭をもって要求をしたときは、事後において速やかに松本地域振興局を通じ文書による要請処理をする。

ウ 村長は、アの要求ができない場合には、その旨及び災害の状況を第13普通科連隊長に通知する。また、この通知をしたときは、速やかに知事にその旨を通知する。

(3) 派遣要請理由等

要請に当たっては、次の事項を明らかにする。

ア 災害の状況及び派遣を要請する理由

イ 派遣を希望する期間、人員

ウ 派遣を希望する区域、作業箇所及び内容

エ 連絡場所、連絡責任者、宿泊施設の状況及びその他参考となるべき事項

オ ヘリコプターの要請を必要とする場合にあっては、本村のヘリポート(資料6-1参照)

〔自衛隊〕

(1) 派遣要請の受理

知事からの派遣要請は次により受理する。

ア 平常の勤務時間中における場合

第13普通科連隊長「気付先第3科長」

イ 平常の勤務時間外における場合

第13普通科連隊長「気付先松本駐屯地当直司令」

(2) 派遣要請受理後の措置

ア 第13普通科連隊長は、派遣要請の内容及び自ら収集した情報に基づき、部隊の派遣を判断し、実施する。

イ 第13普通科連隊長は、災害派遣を命じた場合には、速やかに知事に対し、派遣部隊の指揮官の官職、氏名及び必要な事項を通知する。

(3) 知事の要請を待つことなく派遣する場合の措置

ア 派遣を行う場合(例)

(ア) 災害に際し、航空機(必要に応じ地上部隊等)により、自衛隊又は他部隊のみならず、関係機関への情報提供を目的として情報収集を行う場合

(イ) 災害に際し、通信の途絶等により、部隊等が県知事と連絡が不能である場合に、村長又は警察署長その他これに準ずる官公署の長から災害に関する通報を受け、直ちに救援の措置をとる必要があると認められる場合

(ウ) 災害に際し、通信の途絶により、県知事等と連絡が不能である場合に、部隊等による収集その他の方法により入手した情報から、直ちに救援の措置をとる必要があると認めた場合

(エ) 運航中の航空機に異常な事態が発生したことを自衛隊が察知した場合に、捜索又は救助の措置をとる必要があると認められる場合

(オ) 部隊等が防衛省の施設外において、人命に係る災害の発生を目撃又は当該災害が近傍で発生しているとの報に接した場合等で人命救助の措置をとる必要があると認められる場合

(カ) その他特に緊急を要し、知事の要請を待つ余裕がない場合

イ 知事への連絡等

アの場合においても、できる限り知事に連絡し、密接な連絡調整のもとに救援活動を実施する。また、アによる派遣後に知事から要請があった場合は、その時点から当該要請に基づく救援活動を実施する。


派遣要請の手続系統(通知・連絡先)

2 派遣部隊との連絡調整

派遣部隊の円滑な活動を確保するため、県では自衛隊の長と密接な連絡調整が行われるよう次により区分している。

区          分 統括連絡調整者 現地連絡調整者
災害対策本部が置かれていない場合 危機管理部長 地域振興局長等
災害対策本部が置かれている場合 災害対策本部長 地方部長
現地本部が置かれている場合 災害対策本部長 現地本部長

(1) 村が部隊の活動等について部隊その他関係機関に行う要請は、すべて現地連絡調整者を通じて行う。

(2) 村長は、連絡交渉の窓口の一本化を図り、現地連絡調整者に報告する。

(3) 村は、部隊の宿舎、部隊の活動に要する資機材等について現地連絡調整者から要請があったときは、やむを得ない事情がある場合を除き、これに協力する。

〔自衛隊〕

(1) 第13普通科連隊長は、迅速な災害派遣及び県その他関係機関との連絡調整を図るため、連絡班を本庁、地域振興局、若しくは現地にそれぞれ派遣する。

(2) 第13普通科連隊長は、災害に際し、被害がまさに発生しようとしており、事情真にやむを得ないと認めた場合は、知事の要請を受け、部隊を派遣する。(予防派遣)

(3) 災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の権限

災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合は、村長等、警察官がその場にいない場合に限り、次の措置をとることができる。

ア 警戒区域の設定並びにそれに基づく立入制限・禁止及び退去命令

イ 他人の土地等の一時使用等

ウ 現場の被災工作物等の除去等

エ 住民等を応急措置の業務に従事させること。

3 派遣部隊の撤収

村長は、部隊の活動の必要がなくなったと認めたときは、現地連絡調整者に通報する。

〔自衛隊〕

(1) 第13普通科連隊長は、知事から撤収の要請を受けた場合、又は災害派遣の必要がなくなったと認める場合は部隊を撤収する。ただし、災害が大規模である場合については、知事からの撤収要請があった場合を除き、命により撤収する。

(2) 部隊を撤収する場合にあっては、村長、警察、消防機関、その他公共機関と綿密に調整するとともに、知事にその旨通知する。

4 経費の負担

自衛隊の救援活動に要した経費は、自衛隊の負担すべきものを除き、原則として村が負担するものとし、その内容は、おおむね次のとおりとする。

(1) 派遣部隊が、救援活動を実施するために必要な資機材(自衛隊の装備に係るものを除く。)

(2) 派遣部隊の宿営に必要な土地、建物の使用料及び借上料

(3) 派遣部隊の宿営及び救援活動に伴う光熱、水道、電話及び入浴等の費用

(4) 派遣部隊の救援活動の実施に際して生じた(自衛隊の装備に係るものを除く。)損害の補償

(5) その他救援活動の実施に要した経費で、負担区分に疑義のある場合は、県に調整を依頼して決定する。