第7節 救助・救急・医療活動 |
保健福祉部 広域消防局 大規模災害時における救助・救急・医療活動については、多数の負傷者を迅速に処置することが求められるため、速やかな救護班の派遣、円滑で効率的な救護活動の実施、医薬品・医療用資機材の供給体制の確保、他の地方公共団体との相互支援体制の整備等について関係機関が連携を密にし、一貫性のある的確な対応を行う。 また、道路交通確保が困難となることが予想されるため、救護所や後方医療機関等への搬送方法について、広域的な対応を行う。 1 救助・救急活動 (1) 松本広域消防局、松本警察署、松本広域災害医療コーディネートチーム(震度6弱以上の場合)等と連携して、的確かつ円滑な救助・救急活動を行うとともに、被害状況の早急な把握に努め、必要に応じて、他の地方公共団体等との相互応援協定に基づく応援要請等を本章第4節「広域相互応援活動」及び第6節「自衛隊の災害派遣」により行い、住民の安全確保を図る。 (2) ヘリコプターの支援を求めようとするときは、本章第5節「ヘリコプターの運用計画」により要請する。 〔松本広域消防局〕 (1) 県警察本部及び道路管理者等との連携及び出動隊の報告等により、道路状況の早急な把握に努め、現場への出動及び医療機関等への搬送に当たり、効率的な対応をする。 (2) 救助活動は、県警察本部等と活動区域及び人員配置の調整等密接な連携を図り、現場の状況に対応する迅速かつ効率的な救助を行う。 (3) 救急活動は、県警察本部、救護班等と密接な連携により、医療機関、救護所に迅速かつ的確に傷病者を搬送する。 その際、高規格救急車(救急救命士搭乗隊)を傷病者の状態に合わせて有効に運用する。 〔医療機関〕 (1) 日本赤十字社長野県支部は、各赤十字病院に医療救護班を編成し、医療救護(巡回診療を含む。)を実施する。 また、災害の状況に応じ、医療救護班の派遣に併せ、又は単独で長野県赤十字救護隊を出動させ、傷病者の搬送等に当たる。 (2) 塩筑医師会、災害拠点病院(信州大学医学部附属病院)は、あらかじめ救護班を編成し、効率的な救助活動を行う。 (3) ペア病院(松本市立病院)は、要請に基づきチームを派遣し、救助活動を行う。 〔住民及び自主防災組織〕 自発的に被災者の救助・救急活動を行うとともに、消防機関、救護班等に協力する。 特に、道路交通網の寸断も予想されることから、消防機関等の現場到着前における初期救助・救急活動は、人命救助の上から重要となるので、積極的に行うよう努める。 2 医療活動 (1) 関係機関と協議の上、災害時における医療救護体制について定めるとともに、村内医療機関等の協力又は、塩筑医師会との「災害時の医療救護についての協定書」、松本市立病院との「大規模災害等発生時における医療救護班派遣に関する協定書」に基づき、あらかじめ救護班を編成し、災害時においては次の医療救護活動等を行う。 ア 負傷の程度の判定 イ 負傷者の搬送順位及び搬送先の決定 ウ 救急処置の実施 エ 救急活動の記録 オ 遺体の検案と検案書の作成 カ 消防本部などへの傷病者の搬送要請 キ その他必要な事項 また、必要に応じて、県、隣接市町村、医師会等に協力を要請する。 (2) 医療機関における受入可能人員、診療機能の稼働状況等について把握し、後方医療機関の確保を行い、警察本部に誘導を要請する等、傷病者の搬送体制を整備する。 また、災害の規模により必要がある場合は、隣接市町村、県、松本広域災害医療コーディネートチームに対し傷病者の受入れについて要請する。 (3) 必要に応じて、重症傷病者の災害拠点病院への搬送体制を確保するとともに、災害拠点病院、救命救急センター等への緊急輸送について県に要請する。 (4) 医薬品、医療用資機材等の必要量及び医薬品卸業者、薬局等の備蓄量を迅速に把握し、必要に応じて、県又は関係機関に対し、供給の要請を行う。 3 医療救護所の設置 災害対策本部の指示により、応急処置所及び傷病者搬送拠点となる医療救護所を設置する。 (1) 設置場所 山形村農業者トレーニングセンターとする。 (2) 活動内容 災害対策本部の指示に従う。ただし、震度5弱以上の地震が発生した場合は、村内の医師は自主的に医療救護所に参集し、村職員と連携し活動を行う。具体的な活動内容は次のとおりとする。
※遺体発生状況によっては、すみやかに検案を行う。 (3) 撤収時期等 医療救護所における活動は、避難住民が存在する限り継続する。ただし、災害発生後48時間を目途とする。また、他の医療機関の復旧に応じて規模を縮小する。 (4) 災害発生から48時間目以降の医療救護活動 新たに救出される外科的傷病者は少なくなり、生活環境悪化による内科的疾患、慢性疾患の管理、災害後のメンタルケアが医療活動の中心となる。 災害時には保健・福祉・医療サービスの提供レベルが制限されるので、限られた人数と資材を有効に活用しすみやかに効率的・組織的な対応を行う。 ア 医療救護所での活動 (ア) 健康管理 高齢者、こども、障がい者を中心に食事、睡眠、排泄、保温などに関する健康管理を行う。高血圧症、喘息、心疾患、精神疾患、抗がん剤などの治療を継続している被災者については薬剤師の処方を優先する。 (イ) メンタルヘルス 災害後の精神的不安に対するメンタルヘルスケアと被災した精神疾患患者への医療を確保する。 (ウ) 防疫活動 環境悪化による伝染病、各種感染症、食中毒に対して保健所とともに予防接種、トイレの整備、水道確保などの防疫活動を行う。またインフルエンザ等の感染症発生時は患者を集団から離すとともに、感染症患者の早期発見に努める。 イ 診療記録(診療録、診療日誌) 医療救護所で行った診療は、所定の診療録に記録を行い、医療救護所撤収時に災害対策本部へ提出する。 |